産業と人との共存を映す  ――写真家孫宏亮の視線

中国の写真家孫宏亮(そん・こうりょう)さんが近日、写真集『越位』を発表し現地で大きな話題となっている。街角の何気ない風景や工場などの無機質な空間を切り取る孫さんの作品は、静寂の中に生命の息吹を感じさせる。変わりゆく中国の風景の中に、変わらない人の温かみや絶え間なく続く文化と産業文明の対立を映し出した。


孫さんは中国大連市出身、現在は大連瓦房店に暮らす。大連市作家協会会員。1993年より、余暇を利用して写真撮影と執筆活動を行っている。作品は『海燕』『遼河』『百花園』『中国科技報』『大連日報』『東北之窓』など中国の新聞や雑誌に多数掲載されている。


写真作品『タイムトンネル』は中韓美術展に出品し受賞、1999年広州写真ビエンナーレで優秀賞、2001年大連写真書道展で数点の写真作品が三等賞を受賞するなど各地のコンテストで受賞歴を誇る。
本紙記者との交流を機に日本での個展開催や日本の写真家たちとの交流を計画している。孫さんはいわゆる「美的に美しい」写真を撮ろうとはしない。産業システムが停止した後に残る温もり、「誰かがここにいた」という静寂、喧騒の後の静寂を捉える。「富士山や京都の紅葉などを撮影してみたい」と話す孫さんだが、きっと異国情緒を求めることも、ノスタルジアに浸ることもなく、日本の文化の「継続性」と「産業と人との共存」を映し出すのではないか。